非喫煙者への階段
こうして私の喫煙本数は減っていきました。決して目標や数値を定めて減らしていった訳ではありません。振り返ることもしませんし、仮にたまに多く吸ったとしても反省はしません。ただ最低限の緩いルールを何となく守るようにしただけです。そのルールすらも守れないことがあっても気にしないようにしました。
1日3箱吸っていた私の喫煙本数は、あっと言う間に週に1箱程度になりました。20分の1になった計算です。禁煙しているという意識を持たずに、義務感やストレスなく減らしていけたからこそだと思います。禁煙していること自体も、喫煙したことに罪悪感を持つことも、それ自体が大きなストレスになってしまうものです。
煙草を吸う習慣がなくなっていくことで、喫煙への欲求も少なくなっていきます。気づけば、月に1箱程度しか吸わないようになっていました。この段階になると、煙草を吸いたいと思うことは殆どなくなっており、喫煙所そのものに行く必要がある(行きたい)時や、酒を飲んでいるときにたまに吸う程度になっていました。
決して煙草が嫌いになった訳ではありません。仕事や人間関係上において必要ならば吸うことに問題はありませんし、嗜好品としてたまに味わえば旨いと感じます。ただ、習慣としての喫煙がすっかり抜けていますので、吸ったところでどうということはありません。たまに寿司屋に行って旨かったからと言って、翌日も寿司を食べねば気が済まない訳ではないのと同じです。
非喫煙習慣の定着
ここに至り、二度と喫煙者に戻ることはないことが確信できました。確かにこの時点ではまだ週に数本は吸っていましたが、徐々にそれも減っています。しかも、好きで吸うことは殆どなくなっており、ヘビースモーカーの上司とオフィス以外で話をしたい時に喫煙所に押しかけて捕まえる為だけの喫煙習慣になっていました。
普通に頑張って禁煙をした人であればそうはいきません。何らかのきっかけで元にもどってしまうことは十分に考えられます。一本も吸ってはいけないという厳格なルールの下で禁煙した人は尚更です。一本吸った時点で、それは今まで築き上げてきた非喫煙者としての日々に終わりを告げることを意味するからです。
緩いルールで習慣を変えていった私の方法だからこそ、二度と喫煙習慣を身につけることはないことが確信できるのです。
禁煙開始から半年後
私が煙草をやめようと決意し、禁煙らしきものを始めて半年後くらいになると、もう殆ど煙草について意識することすらなくなりました。前に述べたような理由で喫煙所に行くことはありましたが、それも必要に迫られて月1度くらいになりました。煙草を吸いたいとは思わないので、形ばかり煙草を手に持ちながら火もつけずに話し込むこともありました。因みに元々がヘビースモーカーのせいか副流煙などは気にならないのです。とは言え当然ながら副流煙は身体には悪いので、本当は喫煙所に行くのも嫌になってはいたのですが。
周囲も私のことを愛煙家ではないと認識するようになって来ました。新しく知り合った人たちは勿論ですが、過去にヘビースモーカーであった私のことを知っている人たちも、いつの間にか煙草をやめていたのだと気づくようになりました。「いつやめたの?」とか「禁煙してるの?」と聞かれることはありましたが、「とっくにやめたよ」と答えるとそれ以上はあまり追及されず、煙草を勧めてくる人もなくなりました。勧められてもつまらなそうにしているから面白くないのでしょう。
現在の状況
それから十数年の歳月が流れました。その間、一度も元に戻ることはありませんでしたし、積極的に吸いたいと思ったこともありません。これからもないでしょう。
今後も喫煙習慣が戻ることがないと確信できるのは、平均すると年に2~3本くらいは吸う機会があるからです。吸う必要に迫られるようなシチュエーションも最早ありませんし、特に吸いたくなるようなことはありません。飲んでいるときなどに、他人が持っている見たことのない銘柄を軽い興味本位で貰ってみる、キャンペーンで配っているものを口にしてみる、ということがあるくらいです。これができるのも(別にしなくてもいいのですが)、二度と喫煙者に戻ることはないという確信があるからです。ちょっと口にしたくらいで懐かしくなったり欲しくなったりすることはありません。
喫煙に中毒性や常習性があるというのは刷り込みに過ぎないことが今ではよく分かります。