喫煙の理由
前のページで、ご自身が煙草を吸っている理由はハッキリしたと思います。それほど理由がないことが分かった方もいらっしゃるでしょうが、吸うだけの正当な理由がある方もいらっしゃるでしょう。どんな些細な理由に見えても、それは立派な理由です。
理由があるから吸っているのですから、その理由が正当であると思えば禁煙など本当はする必要がありません。自分自身や周囲の人の健康より、煙草代にかかる無駄な支出より、もっと大事な理由なのであれば吸い続ける方が正しいです。
おそらくはそうではないでしょう。では、貴方が吸っている理由がどの程度のものなのかを落ち着いて考えてみましょう。
煙草の味
煙草を吸う理由の一つに、味が好きだというのがあります。(別に味が好きで吸っている訳ではない、という人はこの部分は読み飛ばして構いません。)
嗜好品としての煙草は確かに魅力的ではあります。愛煙家は誰しも好きな銘柄というものがあります。私も煙草の味が好きでした。正確に言えば今でも嫌いになった訳ではありません。
しかし、旨い物は世の中にたくさんあります。寿司、ラーメン、酒、焼肉、数えれば枚挙にいとまがありません。そのどれよりも煙草の味が好きで好きで仕方がない、という人はどのくらいいるのでしょうか。殆どの方はそうではないでしょう。
例えば私は鰻が好きです。味という点では煙草よりも好きだと言えます。しかし、鰻を毎日食べている訳ではありませんし、何らかの理由で鰻をやめなければならないとしても、残念ではありますがそれほど難しいことではありません。
それと同じことです。煙草の味が好きだから吸っているのだとしても、毎日吸わなければならないほどの理由ではありませんし、やめられない理由にはなりません。
集中力を増す
物事が手につかないとき、考え事がまとまらないとき、煙草を吸うと落ち着きます。その間は集中して頭が整理されていきます。少なくともそんな気はします。
では、本当に煙草を吸わなければ集中できないのでしょうか。子供の頃、勉強に集中できなかったのは煙草を吸っていなかったからでしょうか。他の子も誰も集中力がなかったでしょうか。煙草を吸わない人は仕事に集中できずにいつも頭がボーっとしているのでしょうか。
勿論そうではないですよね。煙草を吸わないと集中できないというのは喫煙の習慣がある人特有のものです。煙草を吸うと集中力が増す、のではなく、煙草を吸っていないと集中できない体質になっているというだけのことです。
煙草をやめればこのようなことはなくなりますので、少なくともこの点は煙草を吸う理由にはなり得ません。
ストレス解消になる
煙草を吸うことがストレスの解消になる、という考え方もあります。
しかし、これは本当に理由にはなりません。昨今は煙草を吸える場所が限られていることもあり、煙草を吸いたいときにいつでもすぐに吸える訳でないので、愛煙家は煙草を吸えないことによるストレスを抱えているからです。
このストレスは煙草を吸うことで解消はされます。しかし、吸わない人にとってはそもそもそのようなストレスはありませんので、関係ありません。
習慣としての喫煙
煙草をやめられないのは定着した長年の習慣によるものであることが多いです。手持ち無沙汰なとき、つい煙草に手が伸びます。これは吸いたくて吸っているというより、反射的な行動です。
これは理由としては勿論弱いです。ただ、習慣なのでなかなか変えるのが難しい点ではありますね。
周囲の環境
煙草を吸い始めるきっかけや禁煙できない理由の一つとして、周りの環境というものがあります。
煙草が好きで吸っているのであれば、周囲が吸っていれば自分も欲しくなるのは仕方ありません。また、食後(特に味の濃いものを食べた後)や飲酒時にはどうしても吸いたくなるものです。こういう誘惑に打ち勝つのは難しいものです。
また、喫煙室や喫煙所に誘う人がいたりもします。喫煙者同士であれば、席をはずして相談するのにちょうどよい場所でもありますし、口実にもなります。勿論、自分からそうしたい場合もあることでしょう。
喫煙の理由としてはやや受動的で消極的なものではありますが、実はこれこそが一番やめられない理由になり得るものです。